陰陽について


1)陰陽とは

 古代の人は自然と共に生活する中で自然の現象がすべて2つの大きな事象に分けられていることを当然のこととして受け入れていました。
 朝目を覚ませば、太陽が東から登り世界が明るくなり、夕方になれば西に陽が沈む暗くなると。また、春になると暖かくなり、秋になると寒くなっていく。また、見上げれば空(天)があり、足下には大地(地)があると。この2つの事象を活発な(明るい・温熱・上昇・外向き)ものを陽と呼び、静かなものを陰(暗い・寒冷・下降・内向)と呼んだのです。
 また、人の体も上部・体表・背中は陽とし、下部・体内・腹部は陰として考えたのです。こころの状態も同じで、明るい・ウキウキ・軽いなどが陽とし、暗い、沈む、重いなどを陰としたのです。こころもからだも自然の事象に対応するものと考えていました。
 自然を大宇宙とし、また人間を小宇宙と対比させたのはこのようなことから伺えるのです。それは、人間も自然の一部としてとらえ、自然と共に生きている有機的として、すべての事象が相対立する陰陽の強弱をもってバランスをとっているいるという事実に気づいていたのです。
 その自然界から暑い夏(陽)から寒い(陰)冬に変わったり、こころも興奮(陽)すると鎮める(陰)という作用の働きがすべてを調和することに気づいていたのです。そして、この陰陽という2つの事象が自然の流れであると身をもって知っていたのです。そのような人類の体験から東洋思想が生まれてきたのです。

2)自然界と人体
  1. 自然界

     自然界では、朝になり太陽が昇ることには陰陽のエネルギーの相互の関係が刻々と変化していきます。陰と陽の純粋な時間はほんの一瞬しかないのです。
     図1のように一日のうちでも陽中の陽→陽中の陰→陰中の陰→陰中の陽とと留まることのない動きがあるのです。
     常に反対の陰陽は必要であり、バランス(調和)の中で自然は動いているのです。
     また、四季も春が近づくと陰中の陽から、真夏の陽中の陽になり、秋が近づくと陽中の陰になり、真冬になると陰中の陰になるというサイクルを回っているのです。
    図1   図2
      
  2. 人体(身)

     朝、陽のエネルギーが盛んになり目覚め活動する。夕方になると次第に陰のエネルギーが強くなり、活動も鈍くなり眠さが出てくる。陰陽の流れによって、一日のリズムや体の調子を保っている。陰陽のバランスが崩れると調子が狂ってくる。
     陽が盛んで静まらず勢力を保っていると、体のほてり、目がさえて眠れない。また気持ちもイライラ落ちつかない。水の性質が不足しやすいので便秘になったり、喉の乾いて水をほしがり、のぼせたりする。顔も赤ら顔になる。
     逆に陰が盛んになっていると、昼間でも眠たくなり、力が出なかったりする。熱の要素が少なく、水の要素が多いので寒がったり下痢気味だったりします。全体に元気のない感じ。顔色もよくない。
     このように陽の盛んな状態を「実証(陽証)」といい陰の盛んな状態を「虚証(陰証)」という。陰陽のバランスの崩れは様々な要因によって起こっているので、全体をみなくてはならない。セラピーにおいては、
     基本的な陰陽(安心感)Aどのようにしてバランスの崩れ起こったのかBのように絡み合っているのかを見立てる必要があります。
3)陰陽の知恵

  1. 相反する陰陽が存在する

     昼(陽)と夜(陰)があって一日といいます。私たちのこころの世界も光(陽)と影(陰)があって一つの人格となるのです。
     このように相対立しているがあるがゆえに存在していることを「陰陽互根(ごこん)」といいます。カウンセリングをしていると、多くのクライエントは自分の影の部分を排除するか、見ないようにしています。
     そうすることでこころのバランスが崩れてくるのです。自分の中の光(長所)と影(短所)のバランスがとれている人が健康な人といえるのです。自分の短所を嫌がらず、それとうまくお付き合いができるようになれば、生きやすくなり、自己受容という意味が見えてくるのです。
  2. 陰陽の流れ

  3.  例えば、朝、あわてて電車に乗り込もうとして走ります。
     ほんの数秒のことで、乗れなかったとします。 ある人は「もう少しだったのに」「車掌は見ていたのに、なんという奴だと」思うかもしれません。 またある人は「しかたがない」と思い新聞を広げるかもしれません。
     そこではイライラして次の電車を待つのか、次の電車が来るまで時間をもらえたと新聞を読むかの大きな違いがあります。ひょっとしたら、乗り遅れたお陰で、会いたいと思っていた友達にあえるかもしれません。 朝からイライラすると一日中気分が悪いものです。このような出来事(現象)に対して、どのようにとらえるのかというリアリティの変換によって道が分かれてくるのです。 ときには、起こった出来事の流れに漂うことも大切です。 

  4. 陰が極まれば陽に転ずる

     悪いことが起これば、次々と悪いことが起こる経験は誰もがしています。
     何か嫌な気持(陰気)ちが磁石のように嫌なこと(陰気)を引き寄せるように思われてなりません。何故このようなことが起こるのかと、視点を変えて「開き直る」ときに流れが変わる場合が多いのです。陰も極(下降)まれば、陽(上昇)に転じていくのです。人生で下降しているときは、動かないことと大きな決断をしないことが原則です。誰も台風が来ているときには外にでません。家の中でじっと過ぎ去って行くことを待っています。言い換えれば、プラスとマイナスをゼロの状態にする努力をしておきましょう。

 このような陰陽の知恵を生活に取り入れると人生観が変わっていき、イキイキとしてきます
自然界
五行
季節 長夏
方角 西
気候 湿
色彩
人 体
五行
五臓
六腑 小腸 大腸 膀胱
形態 皮毛
情志

五行学説

  1. 五行とは
     東洋では、森羅万象における様々な現象や形を5つの要素で成り立っていると考えたのです。
    その要素とは、木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)で、それぞれの特性があると見ていました。 「木」とは樹木のように柔軟にのびる性質。
     「火」とは炎や熱のように昇発急速の性質。
     「土」とは土の中で生まれる、豊満重厚な性質。
     「金」とは透明でさささらした性質。
     「水」とは下に流れ固まる性質。
    このような性質をもとに、自然界や人間のからだを性質をあてはめて理解しょうとしました。次の図は5つの要素に分けたものです。


  1.  これら5つの要素が、木が燃えて土になり、土の中で金になり、金は水を、水は木を生み出していく関係を相生といい、一つの勢いが盛んになれば、ほかのものも盛んになる働きがあります。また、その5つの要素がお互いの勢いを抑制する働きを相克といいます。
    図4 相生の関係  図2 相克の関係
     
    1. 相生と相克は5つのつながりの大きさを強めたり弱めたりして、お互いのバランスとっています。
    2. 自分の勢いが非常に弱くなると相手の勢いが強くなり、抑制している相手に逆に抑制されることが起こり  ます。そして、ますます勢いは弱まることを「相侮(そうぶ)」といいます。
    3. 相克の関係で、抑制されるものが弱くなりすぎるとその弱さに乗じて抑制がさらに強まり、ますますその  ものを弱くさせることを「相乗(そうじょう)」といいます。
    4. 「相生」「相克」が働くように保ち、「相侮」「相乗」がおきないようにコントロールすることが大切に   なるのです。
  2.  五行の考え方は、全体のバランスの取り方を教えてくれています。
     「相生」の流れは良い方向に動けば、ますます良い方向に大きく流れ、悪い方向に動けばますます悪い方向に動いていきます。
     はしゃぎ過ぎると羽目を外すことになり、落ち込み過ぎると何もしたくなります。
     カウンセリングで考えると、祖母、両親、子ども二人の五人家族で起こった問題のようなものです。
     例えば、長男のA君が不登校になったとします。
     家族を一単位で考えると、五人の中で一番弱いとことから問題が生じたことになります。
     想像して下さい。
     あなたは風邪をひいたとき、喉、熱、だるさなどどこから症状がでてきますか。自分のからだの弱いところが、家族の弱いとことろよく似ているのです。
     A君の不登校という現象は家族のバランスが崩れているサインなのです。
     原因として祖母と母親との葛藤があるかもしれません。
     祖母のエネルギーが強すぎると母親のエネルギーが弱くなります。
     また、父親が仕事中心で家族のことを母親まかせにしていると、母親の負担というエネルギーが増大します。
     またA君のことが、家族全体ストレスになれば、A君は気持ちが固まり小さくなっていきます。
     このように五人のエネルギーバランスが崩れていると、様々な症状や現象として表れてきます。
     このように五行のエネルギーのバランスありかたを、二人、グループ、サークル、会社、組織などにあてはめて考えれば、何、或いは誰が問題なのかが見えてくるのです。

    子どもの年齢が低い程、子どものカウンセリングをするよりも、両親のカウンセリングをした方が早い場合が多いのです。